ICL手術から1年経って

みなさんICLという言葉は聞いたことがありますか?

 

Implantable Contact Lens(ICL)

 

簡単に言ってしまえば、近視や乱視を矯正できる目の手術のひとつで、視力を上げる手術としてはレーシックと並んで有名な手術だと思います。

 

今更ながら、という感じもあるのですが、私は2022年11月にICL手術をしました。

約1年経った今、手術後の見え方なども含めて、書き残しておきたいなと思ってblogを書いています。

 

眼科の専門的なことは詳しくないので、体験談として参考に読んでいただけると嬉しいです。

 

  1. 視力が低すぎる人間の生活
  2. ICL手術をするにあたって
  3. 手術、怖すぎる
  4. 念願の裸眼生活

 

  1. 視力が低すぎる人間の生活

私は近視がとても強く、長年の間、視力が低すぎる生活をしてきました。

 

初めて眼鏡を作ったのは小学2年生の頃だったと記憶していますが、それからずっと視力が落ち続けて、2021年にはコンタクトレンズの度数が-10.00に到達し、眼科の医師に「メーカーの製造上限まで来てしまったので、これからはコンタクトの上から眼鏡をするしかないですね」と言われるほどになりました。(注1)

 

そして、最終的にはコンタクトをつけていても矯正視力が0.4くらいしかない…という状態になり、仕事にも支障を来し始めたため、2022年1月にコンタクトの上からかける用の眼鏡を購入しました。これで矯正視力は1.0に!

 

それにしても、自分より近視が強い人というのは、まだ身の回りで見たことがないんですよね。

職場の健康診断でも、眼科検診で「眼鏡の矯正視力ですねー」と言われて、「いや、コンタクトレンズの上から眼鏡をかけていて…」という説明をしたために、神妙な顔で担当の人が別の人に健康診断表の書き方を相談に行ったりしていました。コンタクトの上から眼鏡をしている人って見たことなくないですか?

 

そんなこんなで、コンタクトと眼鏡を併用する生活をしていた私でしたが、あまりの煩わしさに、「これはもう多少金額が高くてもICL手術をするしかない!!!」と考えるようになったのです。

 

そもそも眼鏡がめちゃくちゃ嫌いなんですよね。鼻が疲れて頭が痛くなるし、冬はレンズが曇るし、すぐ汚れるし。プールやお風呂では使えないし。その上、コンタクトの洗浄もあるなんて!という感じで、本当にやってられなかったです。半年で限界でした。

 

ICL手術の金額は、ネットで検索すると40~80万が相場と書かれていました。

レーシックは7~30万円が相場と言われているので、遥かに高い金額になります。

 

私の場合、近視が強すぎてそもそもレーシックで視力矯正することが不可能だったので、ICLしか選択肢がありませんでした。(注2)

ちなみに私は県内の有名な眼科で手術をして、結果的には費用は67万円程度でした。

金額の内訳は、眼科のHPに書いてあった通りの手術料金+保護ゴーグルや目薬等の費用1万円程度です。

 

決して安くはない買い物ですが、近視が強すぎる私は「絶対に必要な手術だ!」と確信して、ICL手術をすることを決めました。

 

注1:ここで言うコンタクトレンズは、私が使っていた乱視用ソフトコンタクトレンズ2week用を指します。ハードコンタクトレンズならもう少し上の度数があると聞いたのですが、私は過去に2度ほどハードコンタクトレンズに挑戦して、体質的に合わず、痛すぎて返品した過去があり、ハードタイプのものは使えないと判断しました。

 

注2:レーシックとICLはそもそも手術の方法が全く異なります。その上で、どちらにもメリットデメリットがあると思います。近視が軽くてどちらも選べる方は、どちらにしようかと悩むと思いますが、このblogでは詳しく言及しません。「レーシック ICL 比較」などで検索すると、より詳しい情報が得られると思います。

 

2.ICL手術をするにあたって

 

ICL手術をする!と決めて、いちばん初めにやることと言えば。

 

そう、病院探しです。

 

大切な手術だからこそ、病院探しは迷うと思うのですが、私の場合はレーシック手術をしたことのある友人が「良い眼科だったよ!」と比較的近い病院を紹介してくれたので、あまり迷うことはありませんでした。ネットで口コミなどを見た感じも評判が良く、安心して選ぶことができました。

 

手術をした後になって思うことは、「あんまり遠すぎる病院は選ばない方が良い」ということです。

 

検査や手術の当日に、朝から瞳孔を開ける目薬を自宅で点眼する必要があり、眩しかったり焦点の定まらなかったりする状態で病院に行かなければならないからです。もちろん、手術後もすぐに視力が安定する訳ではないと言われています。(私は術後すぐによく見えましたが…)

 

病院からは「家族の送迎かタクシー」での来院を勧められました。

 

私は、自宅から電車を乗り継いで30分程度の場所に病院があるということもあり、手術後だけ家族の送迎、それ以外は公共交通機関で通院しました。タクシーは高い。

 

なので、あんまり遠い病院を選ぶと不便かなぁ…と思います。

 

さて、病院が決まったところで、早速予約を取って初回の通院へ。

初回は、簡単な検査と手術内容の説明、手術日や術前検査の日程決めをしたと記憶しています。

 

実は、私は初回の通院のときが最も緊張していました。

 

「もし、ICL手術できないと言われたらどうしよう」と不安に思っていたからです。

 

実は、世の中には「ICL手術ができない人」が存在します。

難しいことはよく分からないのですが、角膜と水晶体の距離が近い方は駄目なのだとか。

 

初回の検査で「あなたの眼はICL手術できません」と言われてしまったら、一生コンタクトと眼鏡の二刀流で生きていかなければならないのだろうか…とずっと考えていました。

 

結果、検査結果に問題はなく、すんなりとICL手術の段取りが進んでいきました。この結果を聞いた時が、本当にいちばん嬉しかったです。

 

2022年8月、初診でOKが出て、その場で67万円をクレジットカードで決済。

手術日程は仕事の都合を確認して調整しますと言って、検査日を決めて帰りました。

(最終的に手術は同年11月にしました。)

 

ちなみに、この後日の術前検査が強度近視の自分にとってはなかなか面倒なものでした。

 

発注するレンズの度数などを決めるために、同じような検査を2回するとのことで、この検査をするために、検査日の1週間前からコンタクトをつけずに生活しなければならなかったのです。

 

これはHPにも書いてない内容で、他の眼科のHPを調べても書いていない病院が多かったです。ちなみに、日数は3日間としている眼科もあるようですね。

 

近視が強すぎて、寝る直前までコンタクトをつける生活をしている自分は、「裸眼でかけてまともに見えるメガネ」というものを持っておらず、これでは仕事ができない!と思い、急いでメガネを作りに行きました。

メガネ屋の店員さんに近視と乱視が強すぎて驚かれ、圧縮軽量レンズにしないと重すぎるしフレームにはまらないと言われ、なんだかんだ2万円くらいかけてメガネを作りました。3回くらいしか使わないのに…。

 

このメガネをかけていると、目が縮みまくって同僚に笑われるわ、視界が歪んで仕事がやりづらいわで、コンタクトをつけられない期間は地獄でした。車も乗れないし…(注3)

私はいつも職場まで片道1時間かけて車通勤しているのですが、職場が山奥にあるので、公共交通機関を使うと片道2時間くらいかかるんですよね。車に乗れず、電車とバスで通勤している期間は大変だったなぁ…(遠い目)

 

そんなこんなで、術前の2回にわたる検査も無事終わり、手術当日を迎えることとなるのでした。

 

注3:このメガネでの矯正視力は一応ギリギリ0.7あるので、車に乗れないことはないのですが、視界が歪み過ぎて危なかったです。ちなみに私は、このメガネをかけた初日、「いけるやろ!」と思って車に乗ってみたら、自宅の駐車場から出庫する時に、駐車してあった無人の車に盛大に自分の車をぶつけて大変な目に遭いました。本当に申し訳ない…。人に怪我させたり轢いたりしなくて良かった…。この事故のせいで等級が下がって、今年の自動車保険の保険料がめちゃくちゃ高いです。涙

 

3.手術、怖すぎる

 

いよいよICL手術当日!

 

前日の夜は、ドキドキしながら手術をした人の体験記をネットで探して読み漁ったりして過ごしました。

 

手術当日は風呂には入れないし、化粧も禁止です。

 

私が手術した病院では、術後3日は洗髪・洗顔禁止、目の周りは使い捨ての濡れコットンで拭き取りして清潔に。(注4)

化粧は1週間禁止でした。マスクで隠してノーメイクで仕事に行くの、辛かったなぁ。

あと、1週間くらい保護ゴーグルをかけて過ごすので、見た目が面白い感じになってしまって肩身が狭かったです。

職種によっては、ノーメイク&保護ゴーグルで仕事するのが無理なところもありますよね…。

 

色々な制約を乗り越えられるのかと怯えつつ、指定された目薬を指定された時間に点眼して病院へ。

 

スムーズに手術へと案内され、ICL手術が始まりました。

 

全身麻酔をしない手術なので、バリバリ意識がある状態での手術になります。怖い!怖すぎる!!!

 

時計を見る限りでは、手術は両目で30分もかかっていなかったようなのですが、とても長い時間に感じました。

 

点眼麻酔をしているので全く痛くはないのですが、眼を眩しい光で照らされて、「正面見て!」と言われながら目にグイグイとレンズを入れられるのが、圧迫感が凄くて超超超超超怖かったです。

緊張しすぎて息ができず、自分の拳を強く握りしめすぎるあまり、看護師さんに「力を抜いてね、大丈夫よ」と何度も手を柔らかくほぐされていました。

笑気麻酔をしてるからぼーっとして怖くないよ!と説明されていたけど、私はめちゃくちゃ怖かったです。終わってしまえば何ともないけれど!

 

その後は無事に手術が終わり、家族に車で迎えに来てもらい、あっさり帰宅。

 

体調が悪くなることも特になく、視界も極めて良好で、裸眼でクリアに見えることに感動しつつ、決められた目薬をさすことは忘れないように気を付けて過ごしました。

 

経過も順調で、手術翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヵ月後の検診も無事に終えて、最後の検診では「これで卒業です!」と院長に笑顔で送り出していただきました。

看護師さんにも拍手してもらって、あれ、なんだか嬉しかったなぁ。

 

注4:この風呂禁止期間のことを考慮すると、ICL手術を夏にするのは避けた方が無難なのではないかと思います。汗をかく季節に3日間も洗髪できないのは地獄すぎる…。

ちなみに、私は11月でしたが2日間で我慢の限界に達して、スイミングゴーグルをつけて禁を破って洗髪していました。

 

4.念願の裸眼生活

 

こうして、私の念願の裸眼生活が始まりました。

 

1年経った今、思うことは、ICL手術をして本当に良かったなぁということです。

今のところは大きな視力低下はなく過ごせています。(注5)

 

ICL手術の術後の合併症でよく言われるハロー・グレアは、正直あります。

ハローは夜に光がにじんで見えたりすること、グレアは眩しく感じたりすること、です。

 

こうした合併症は確かにあるのですが、慣れるとあまり生活に支障はありません。

ハローは慣れたし、グレアに関しては、日差しの強い日に長時間外で過ごすような時にサングラスをかけて過ごすようにしています。

これを「生活に支障がない」と感じるかどうかは、個人差があるかなぁと思いました。

 

私の場合は、強度近視の不便さが大きかったので、ICL術後の小さな不便はあまり気にならないのかなと思います。近視が軽い方が手術すると、見え方が変わって困る!と強く感じることもあるかもしれませんね。

 

小さなことかもしれないけど、コンタクトを洗うという面倒な作業から解放されたし、コンタクトをつけたまま寝落ちして朝に嫌な気持ちになることもないし、外出中にコンタクトがうっかりはずれてなくなったら…というような不安もないし、高いお金をかけて定期的にコンタクトレンズを注文する必要もないし、そんな些細なことでめちゃくちゃ嬉しくなる瞬間が日々たくさんあります。

いま、私の眼の中には、-16.50の度数の眼内コンタクトレンズが入っています。

 

私は現代の進んだ技術がなければ、視覚障害を抱えて生きていかなければならなかったんだなぁ、とよく思います。

私の元の裸眼の視力では、ほとんどの仕事には就けないだろうし、勉強したり生活したりすることも難しいだろうなぁ。

 

ちょっと話は逸れますが、技術の発達や社会のあり方の変化によって、今は障害とされていることも、未来には障害ではなくなることもあるのだろうなぁと、希望を持ったりもしています。

 

私は今日も現代の医療技術に支えられた視力で、元気に楽しく生きています。

手術が終わってから1年、何度も感謝して、何度も「やって良かったなぁ」と感じながら日々を過ごしてきました。

 

 

これからICL手術をしようと思っている方へ。

 

「迷う理由が値段なら、やった方が良いよ!」

 

 

このblogが誰かの参考になっていれば、とってもとっても嬉しいです。

 

注5:ICL手術をする際に、「もし術後に視力が落ちたらどうしたら良いですか?」と尋ねると、「コンタクトやメガネで上から矯正することもできるし、お金はかかるけど、再手術して眼内レンズの度数を変えることもできるので、困ったら相談してくださいね」と答えていただきました。もし視力が下がったとしても、軽い度数のコンタクトかメガネで過ごせるなら別にそれで良いかと今のところは思っています。